本日は宇部市のマンションにてMIWA U9 のLAタイプのシリンダーを交換しました。
シリンダー交換に至った理由は、カギ紛失です。お客様はポケットにしまっていたはずのカギをどこかに落としてしまったようで、近い当店にご連絡して頂けたようです。
万が一なくしたカギを誰かに拾われて使用されるなどがあると困るので、カギを開けた後にカギ交換したいというご要望でした。
現場拝見の際にどうやってカギを開けようか扉をみましたが、シリンダーはU9、扉の隙間はなしです。倉庫の扉なのでドアスコープやポストなどもありません。
玄関扉であればドアスコープやポストから解錠工具を入れて開けますし、窓があれば窓から解錠もできます。実際、玄関カギ開けの場合は、お客様はピッキング解錠がみたい訳ではなく、早くお家に入りたいので素早く開いたら方法は何でもいいわけなので。ですが、今回のようにシリンダー以外からの解錠ができない場合、高セキュリティのシリンダーであればピッキングではなく破錠をするしかありません。
U9はカギ穴がだぶりゅーの形になっていてカギは一見普通のギザキーですが、耐ピッキング性能はピカイチです。ディンプルキーのピッキングやインプレッションでカギ開けできる鍵屋でも、U9はピッキング解錠できません。その理由は、タンブラーにダミー溝が入っていることと、ピッキング工具が入りにくいカギ穴になっていることが理由です。U9のロータリーディスクシリンダーは緻密な作りなのです。
ですが、破錠には弱い。ドリルでカギ穴を穴開けをすると15分ほどで解錠できます。ただし、穴開けも気をつけて開けないと錠ケースまで破損してしまいますから、それなりに知識や経験は必要です。

例えば、錠ケースのカムが咬み合う部分まで削ってしまうと、

カムが空転してカギを挿し込んで回しても施錠開錠はできません。何も考えず適当に壊してしまうと、シリンダー交換だけではなく、錠ケースまで交換する自体になります。
また、シリンダーごと壊し方も異なります。私の場合、ディンプルシリンダーはサンダーで縦に切断しますが、ピンシリンダーであればカギ穴上部を細い3mmのドリルでピンを飛ばして破錠します。一番手前のアンチピン(ダミー溝あり)のみドリルで飛ばしてピッキング解錠するのが一番綺麗に早く済みます。
あくまで私個人の考えで、鍵屋さんによって面白いほど考え方はやり方は異なりますが。

破錠後はシリンダーのカギとしての機能は損なわれますので、カギ交換をしていきます。同じU9でも、LSPやLA、BHなどシリンダーの構造が異なります。LAは、ドア側面のフロントケースを外すとピンが4本見えます。シリンダー側に2本と、サムターン側に2本の計4本です。このピンを先の細いマイナスドライバーで引き抜くことでシリンダーやサムターンを取り外すことができます。
ちなみに今回はサムターンがない扉なので、ピンはシリンダー側2本しか入っていません。

新しいシリンダーの取り付けの際は、シリンダーを錠ケースに嵌め込みながらピンを通すことで、シリンダーやサムターンを扉に固定しているわけです。なのでLAのシリンダー交換ではネジを使うことはありません。フロントケースの脱着くらいです。

これでシリンダーのカギ交換が完了です。
ありがとうございました。
