サッシ屋の日常⑨|「玄関引戸はカバー工法と枠ごと交換、どちらがいいですか?」と聞かれる話
宇部市で玄関引戸交換のご相談をいただく中で、このように聞かれることがあります。
「玄関引戸は、カバー工法と枠ごとの交換のどちらがいいですか?」
現在の玄関枠を残して新しい枠を取り付ける「カバー工法」と、既存の玄関枠を撤去して交換する「斫り(はつり)工法」では、工事内容が大きく異なります。
どちらか一方が必ず優れているわけではありません。
既存枠の状態、交換後に必要な有効開口、下枠の段差、外壁や玄関タイルの状態などを確認して、住まいに合った方法を選ぶことが大切です。
まず結論、既存枠の状態と必要な開口幅で判断します
現在の玄関枠や周辺の外壁に大きな問題がなく、工事範囲や工期を抑えたい場合は、カバー工法が選ばれることが多くあります。
一方、既存枠の腐食や変形が大きい場合、できるだけ広い開口を確保したい場合、玄関の寸法や形状を大きく変えたい場合には、枠ごとの交換を検討することがあります。
玄関引戸をどのように使いたいかによっても、適した工法は変わります。
- 工事期間をできるだけ短くしたい
- 外壁や玄関タイルをなるべく壊したくない
- 交換後も十分な出入り口の広さを確保したい
- 車いすや歩行器でも通りやすくしたい
- 将来を考えて下枠の段差を確認したい
- 古くなった既存枠も含めて取り除きたい
そのため、工法だけを先に決めるのではなく、現地で玄関まわりを確認してから判断する必要があります。

玄関引戸のカバー工法とは
カバー工法は、現在取り付けられている玄関引戸の枠を残し、その枠の上から新しい枠をかぶせるように取り付ける方法です。
既存枠を撤去するために外壁や玄関タイルを大きく壊す必要がないため、枠ごとの交換と比べて工事範囲を抑えやすいことが特徴です。
カバー工法の主なメリット
- 外壁や玄関タイルを大きく壊さずに施工しやすい
- 工事期間を比較的短くしやすい
- 解体に伴う音や粉じんを抑えやすい
- 大がかりな外壁補修が発生しにくい
- 枠ごとの交換と比べて工事範囲を抑えやすい
玄関が長期間使えない状態を避けたい場合や、外壁と玄関タイルをなるべく残したい場合に検討しやすい工法です。
カバー工法の注意点
- 既存枠の上に新しい枠を取り付けるため、有効開口が狭くなることがある
- 新しい下枠の納まりによっては段差が変わることがある
- 既存枠の腐食や変形が大きい場合は施工できないことがある
- 玄関の形状や寸法によって対応できる商品が異なる
- 既存枠が完全になくなるわけではない
特に確認しておきたいのが、交換後の「有効開口」と「下枠の段差」です。
玄関引戸本体の大きさだけではなく、実際に人が通れる幅や高さ、床から下枠までの段差を確認する必要があります。
枠ごと交換する斫り工法とは
枠ごと交換する方法は、既存の玄関引戸と枠を撤去し、新しい枠と玄関引戸を取り付ける工事です。
既存枠を外す際に、その周囲の外壁や玄関タイルなどを部分的に斫ることがあるため、「斫り工法」と呼ばれます。
既存枠を残さないため、カバー工法と比べて寸法や納まりを調整しやすく、玄関まわりを大きく見直せる場合があります。
枠ごと交換する主なメリット
- 古くなった既存枠を撤去できる
- カバー工法より有効開口を確保しやすい場合がある
- 玄関の寸法や形状を変更しやすい
- 外壁工事と合わせて玄関まわりを見直せる
- 下枠や周辺部分を含めて納まりを計画しやすい
玄関リフォームと同時に外壁やタイルも工事する場合や、既存枠の状態に問題がある場合には、枠ごとの交換が選択肢になります。
枠ごと交換する場合の注意点
- 外壁や玄関タイルを解体することがある
- 工事期間が長くなりやすい
- 解体時の音や粉じんが発生しやすい
- 外壁・内装・タイルなどの補修工事が必要になることがある
- カバー工法より工事範囲が広くなりやすい
玄関枠を取り外したあとには、周囲の防水や仕上げも必要です。玄関引戸の取り付けだけでなく、外壁や玄関タイルを含めた工事計画が必要になります。
カバー工法と枠ごと交換の違い
| 比較する項目 | カバー工法 | 枠ごと交換(はつり工法) |
|---|---|---|
| 既存の玄関枠 | 残して上から新しい枠を取り付ける | 既存枠を撤去して新しい枠を取り付ける |
| 外壁・タイル | 大きく壊さずに施工しやすい | 部分的な解体と補修が必要になることがある |
| 工事期間 | 比較的短くしやすい | 補修を含めると長くなりやすい |
| 音・粉じん | 比較的抑えやすい | 解体内容によって発生しやすい |
| 交換後の有効開口 | 新しい枠の分だけ狭くなることがある | 開口を確保しやすく、寸法変更の自由度も比較的高い |
| 下枠の段差 | 新しい下枠の納まりによって変わることがある | 周辺工事を含めて調整しやすい場合がある |
| 向いている場合 | 工事範囲や期間を抑えたい場合 | 既存枠の撤去や開口寸法の見直しが必要な場合 |
※実際の工事内容・工期・有効開口・段差は、現在の玄関引戸や建物の状態、選択する商品によって異なります。
カバー工法では開口がどのくらい狭くなる?
カバー工法では、既存枠の内側に新しい枠が取り付けられるため、現在より出入りできる幅や高さが小さくなる場合があります。
ただし、狭くなる寸法はすべての玄関で同じではありません。
- 現在の玄関枠の形状
- 引戸の枚数や開き方
- 選択する玄関引戸の商品
- 新しい枠の寸法
- 既存枠の傾きや歪み
- 下枠の納め方
こうした条件によって、交換後の有効開口は変わります。
普段の出入りだけでなく、大きな荷物の搬入、車いすや歩行器の使用なども考えている場合は、交換後に確保できる寸法を事前に確認しておくことが大切です。
下枠の段差も確認が必要です
玄関引戸のカバー工法では、既存の下枠周辺に新しい下枠を取り付けるため、現在より段差が高くなる場合があります。
商品や現場の納まりによっては段差を抑える部材や施工方法を検討できることもありますが、完全に段差がなくなるとは限りません。
特に、ご高齢の方や小さなお子様がいるご家庭、車いすや歩行器を使用する可能性がある場合は、交換後の下枠の高さまで確認しておく必要があります。
既存枠の状態によってはカバー工法が適さないことがあります
カバー工法は既存枠を残して施工するため、その枠を新しい玄関引戸の土台として利用できる状態かどうかを確認します。
- 既存枠に大きな腐食がないか
- 枠が著しく変形していないか
- 建物から枠が外れかけていないか
- 周囲から雨水が入った形跡がないか
- 床や玄関タイルに大きな傷みがないか
- 施工に必要な固定部分を確保できるか
軽微な傾きや歪みであれば施工時に調整できる場合がありますが、状態によっては枠ごとの交換や周辺部分の補修をご提案することがあります。
写真だけでは枠の固定状態や内部の傷みまで分からないため、最終的には現地確認が必要です。
カバー工法が向いている場合
- 既存枠や周辺の外壁に大きな問題がない
- 外壁や玄関タイルをなるべく残したい
- 工事期間をできるだけ短くしたい
- 現在と大きく変わらない寸法で交換したい
- 交換後の有効開口と段差に問題がない
現在では、玄関引戸交換の方法としてカバー工法が選ばれることが多くなっています。
ただし、選びやすい工法だからといって、すべての玄関に適しているわけではありません。
枠ごとの交換を検討する場合
- 既存枠の腐食や変形が大きい
- 現在より広い出入り口を確保したい
- 玄関の高さや幅を大きく変更したい
- 玄関まわりの外壁やタイルも工事する予定がある
- 既存枠を残さず玄関まわりを作り直したい
- カバー工法では希望する商品が取り付けられない
枠ごとの交換は工事範囲が広くなりますが、開口寸法や玄関まわりを大きく見直したい場合には有効な選択肢です。
現地確認で確認するポイント
MADOSUKEサッシ・ドアでは、玄関引戸交換の現地確認で主に次の点を確認します。
- 玄関引戸の幅・高さ
- 既存枠の形状・腐食・変形
- 外壁や玄関タイルの状態
- 現在と交換後の有効開口
- 下枠の高さと段差
- 室内側・屋外側の納まり
- 玄関まわりへの搬入経路
- 希望するデザイン・断熱性能・防犯性能
現在の玄関引戸がカバー工法に対応できるかだけでなく、交換後に使いにくくならないかも含めて確認します。
玄関引戸は確認後に商品を手配します
玄関引戸は、現場の寸法や選択する仕様に合わせて手配する商品です。
そのため、電話や写真だけで商品や工事方法を確定するのではなく、現地で採寸と納まりの確認を行います。
- ご相談内容を確認
- 現地で玄関引戸と周辺部分を確認
- カバー工法または枠ごとの交換を検討
- 商品・工事内容・総額をご案内
- ご納得いただいた場合に商品を手配
- 商品入荷後に施工
工事方法と交換後の状態をご説明し、ご納得いただいてから商品を手配します。
サッシ屋の日常として思うこと
「カバー工法と枠ごとの交換は、どちらがいいですか?」と聞かれることがあります。
工事範囲や期間を抑えやすいのはカバー工法ですが、有効開口や下枠の段差、既存枠の状態によっては、枠ごとの交換を検討した方がよい場合もあります。
大切なのは工法の名前だけで選ぶことではなく、交換後の玄関が安全で使いやすいかまで確認することです。
MADOSUKEサッシ・ドアでは、宇部市で玄関引戸交換をご検討中の方へ、既存枠・有効開口・段差・外壁やタイルの状態を確認したうえで、住まいに合った工事方法をご案内しています。
代表の寺川は、ガラス店とサッシ店の両方で経験を積み、現在は山口県に戻り、宇部市・下関市を中心に窓・サッシ・ドア工事に対応しています。
